
■目次
はじめに
どうしてカビさせようと思ったのか?
織布工程では化工澱粉が使われることが多いのですが、「天然のデンプンと大差ないならカビの餌になるんじゃないか?カビが生えるような糊が使われているなら寧ろ安心感があるな」と思って新品のネルフィルターを濡らして袋に戻し常温で数日放置することにしました。
加工デンプン(加工澱粉、英語: modified starch)または化工デンプン(化工澱粉)は、物理的・化学的あるいは酵素的処理を加えることによって、天然デンプンの特性を改良したデンプンの総称である。
食品衛生上、日本や欧州連合は、加工デンプンのうち物理的および酵素的処理によるものを食品、化学的処理によるものを食品添加物として取り扱っている。アメリカ合衆国は、すべての加工デンプンを食品添加物とみなしている。
出典:Wikipedia

濡らしたネルを数日放置した結果

見事にカビました!先ずは化工澱粉が確かに食品若しくは食品添加物であることが分かりました。本題はここからで、カビが生えたネルフィルターは使えないのか?を検証します。
実験開始!
とりあえず煮沸から始める

カビを周囲に撒き散らさないようにとか、繊維の中に入り込まないようにとか考えて袋からそっと取り出し煮沸することにしました。浮いたカビは直ぐに掬って処分しました。なんだかヤバイ感じで非日常を満喫です。

一度の煮沸でそこそこ綺麗になりました。

改めてしっかりと煮沸します。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬する

漂白剤臭くなるのは嫌だったのでキッチンハイターを100倍に希釈しました。

30分経って少し変化が見られますがまだ何とも言えない感じです。

翌朝…13時間が経過しています。

見た感じは綺麗になっていますが、カビが死滅したかと言うとそれはまた別の問題です。
消毒したネルを再び煮沸する

カビはどこにでも居るので滅菌は不可能ですが、局所的に死滅させる目的でもう一度ネルフィルターを煮沸します。
アルカリ性水溶液で煮洗いする

重曹は不要かも知れませんが「どうせやるならコテンパンに!」と煮洗いに添加しました。

綺麗になりました。手触りもニオイも大丈夫なので…珈琲を点てて飲んでみましょう。内心不安ですがやらないという選択肢はありません。
総仕上げ
珈琲を点てて一服する

リングを通してお点前開始です。

いつもの景色です。

結果、全く問題ありませんでした。飲んだ日から五日が過ぎていますが体調を崩したとか…あ、風邪を引きましたがそれは多分寝冷えしたからです。
カビの除去が出来ても毒(マイコトキシン)が残る可能性が高いので安心安全は約束されません。
マイコトキシン (Mycotoxin) とは、カビの二次代謝産物として産生される毒の総称である。ヒトや家畜などに対して 急性もしくは慢性の生理的あるいは病理的障害を与える物質。現在、300種類以上のマイコトキシンが報告されており、アスペルギルス (Aspergillus) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属、フザリウム (Fusarium) 属の3属により産生されるものがほとんどである。
Mycotoxin という単語は「菌の」という意味の接頭語である myco- と、「毒」の意味である toxin からなる造語。
概要| 産生菌が死滅しても産生されたマイコトキシンは残り、更に熱分解されにくく、食品加工程度の加熱や環境の変化などでは分解されず、除去は困難であることから食品中に含まれ問題となる。しかし、食品中に含有(残留)する規制値は各国の都合に合わせた値が採用され、リスクゼロが目的ではなく「リスクを抑え基準以上の含有で廃棄される穀物を抑制し飢餓を発生させないための値」として認識されている出典:Wikipedia

大丈夫そうだったので普段通り煮てから片付けます。

カビが生えていた痕跡は皆無です。ネルフィルターの管理を怠っても大丈夫!ではありませんが、自分で飲む分には他の実験も試す価値はありそうです。
おまけ

実験前に使っていたネルフィルターは色こそ染まっていますが、まだ使えるので袋に入れて冷凍保存します。ネルのエイジングによる味の違いを飲み比べるのに使っても面白そうです。

今回はカビさせたネルフィルターは復活するか?を実験します。アイキャッチよりもリアルなカビの写真を載せるので見たくない方はそっとブラウザを閉じて下さい。笑